論文を投稿後、査読者によるピア・レビューが終わると、ジャーナルより結果の連絡(Decision Letter)が届きます。

査読結果は、概ね以下のパターンのいずれかが考えられます

Accept without revision(修正の必要なく受理)

非常に稀なケースですが、投稿原稿が修正の必要なくAcceptとなることがあります。

この場合、Decision Letterに「The manuscript has been accepted in the current form(原稿は、現在の形式のままアクセプトされました)」といった記載があります。

②Reconsider after major / minor revision(メジャーまたはマイナー修正後に再検討)

査読により、論文がさらなる検討に値すると判定された場合、「The manuscript cannot be accepted in the current form, but we would like to reconsider the revised manuscript …(原稿は、現在の形式ではアクセプトできませんが、査読者のコメントに従い、修正した原稿を再検討します)」といった文面のレターが届きます。

査読者のコメントに基づくMajor revisionまたはMinor revisionが求められます。

③Recommend other publication type / transfer to other journal(別の掲載形式またはジャーナルへの移行を推奨)

ジャーナルによっては、リジェクトではないものの、論文を別の形式(例:Original Articleではなく、Letterに移行)であれば再度検討するといった返答がくることがあります。多くの場合、フォーマットや掲載頁数が異なるため、大幅な編集が必要となります。

また、投稿したジャーナルでは掲載できないが、姉妹誌で検討するというように、投稿先の切り替えを提案される場合もあります。希望していたジャーナルよりもインパクト・ファクターが低くなる可能性もあるため、注意が必要です。

こうした提案を受けた場合、著者が納得できれば受け入れますが、納得できない場合は、別の投稿先を検討することになります。

④Reject(不採択)

「I regret to inform you that the editor has decided that your manuscript is not appropriate for publication in this journal」といった文面で連絡が入った場合、残念ながら、論文がリジェクトされたことを意味します。

リジェクトには、査読にまわる前にエディターの判断で投稿後まもなく不採択になる場合(Editor’s Kickと呼ばれます)と、査読者によるピア・レビューを経て不採択と判定される場合があります。ピア・レビューを経た場合は、通常、Decision Letterに続き、査読者のコメントが提供されています。

 

再投稿に向けた準備

査読結果としてもっとも多いのは②のケース(原稿リバイスのうえ再投稿が必要)です。

Major revisionの場合、非常に多くのコメントや、なかには厳しい指摘を受けることもありますが、1つ1つのコメントに真摯に対応することが重要です。

また、複数の査読者のうち1人が極めて否定的なコメントをしているという場合があります。このような場合でも、リジェクトとなっていない限り、ジャーナルの編集長が総合的に判断し、アクセプトとなる可能性が残っています。このため、あきらめずにできる限りの対応をすることが大切です。

 

☝再投稿の期限を確認する

Decision Letterの後半に、再投稿の期限が設定されていることが多いため、見逃さないようにしてください。この期限を過ぎると、新規投稿扱いになってしまう恐れがあります。

原則として、この期限までに査読者のコメントに対する回答とリバイス原稿を準備のうえ、再投稿する必要があります。但し、コメントによっては、あらたに追加解析を行う必要が生じたり、数が多いためにリバイスに時間を要することが想定される場合があります。このような場合は、予めジャーナルに再投稿期限の延長が可能か、メールにて問い合わせることをおすすめします。

 

■再投稿までのスケジューリング

下記の事項を考慮し、原稿リバイスに要する日数を算出のうえ、スケジュールを組みます。

追加解析や本文の大幅リバイスに要する時間

共著者がいる場合、リバイス原稿について校閲・承認を得るために要する時間

再投稿原稿の英文校正(ネイティブチェック)、QCに要する時間

 

■再投稿に必要な原稿・書類の準備

●各査読コメントに対する回答(point-by-point response

通常、各コメントの下に、著者の回答を挿入するか、コメントにナンバリングを行い、対応する回答がわかるようにします。また、回答に伴い、原稿を修正した場合は、その旨(修正した原稿頁・行数)を記載します。

 ●リバイス原稿

査読コメントへの回答に伴い、原稿の修正を行います。修正した箇所は、Wordの修正履歴機能や赤字などを用いて、投稿原稿からの変更箇所がわかるようにします。また、ジャーナルによっては、修正履歴のあるファイル(Tracked copy)と、修正を反映させた清書版(Clean copy)の2ファイルの提出が求められる場合があります。

●再投稿用のカバーレターおよび必要書類(ジャーナルにより、著作権移譲のフォーム等)

 

▶『英文臨床研究論文の書き方』(電子書籍版)では、査読後の対応に関する解説と、具体的な査読コメント(Major / Minor revisions)と回答の例を紹介しています。詳しくはこちらをご参照ください。