論文がアクセプトされると、ジャーナルによってタイミングは多少異なりますが、概ねProof(校正刷り)が届く段階で、オープン・アクセスを選択することができます。オープン・アクセスとは、著者が出版費用を負担することにより、論文が一般公開されるシステムで、読者は購読料を支払うことなく誰でも無料で論文にアクセス可能となり、著者にとっては論文の認知度や引用頻度の向上の可能性が広がります。最近ではすべての論文をオープン・アクセス形式で掲載するオープン・アクセス・ジャーナル(PLOS ONEBMJ OpenScientific Reportsなど)も増えております。

このように、論文をオープン・アクセス化する、またはオープン・アクセス・ジャーナルに投稿する際に、著作権の取り扱いについて見慣れない用語(「CC-BY」や「CC-BY-NC-ND」など)を目にすることがあると思います。

著作権については、クリエイティブ・コモンズという国際的非営利組織が、著作物の適正な再利用の促進を目的として仕組みづくりを行っています。下記に、クリエイティブ・コモンズの定める基本用語と利用条件についてまとめます。

基本用語

  • CC:Creative Commons (クリエイティブ・コモンズのライセンス)
  • BY:Attribution(帰属先を表示する義務)
  • NC:Noncommercial(非営利目的での使用許可)
  • SA:Share Alike(オリジナルの利用条件を継承する義務)
  • ND:No derivative works(改変の禁止)

利用条件

CC-BY:「Attribution(帰属先を表示する義務)」

➡著作権の帰属先を著者および著作権保有者が指定した方法で表記することにより、誰でもその論文の再利用・改変利用が可能

CC-BY-NC-SA:「Attribution(帰属先を表示する義務)」+「Noncommercial(非営利目的での使用許可)」+「Share Alike(オリジナルの利用条件を継承する義務)」

➡著作権の帰属先を指定された方法で表記する。商業目的での使用は不可。使用に際しては、元の著作権と同様の使用条件を継承する(例:元の著作物の使用条件が「CC-BY-NC」の場合、再利用の際にもその条件が継承される)。

CC-BY-NC-ND:「Attribution(帰属先を表示する義務)」+「Noncommercial(非営利目的での使用許可)」+「No derivative works(改変の禁止)」

➡著作権の帰属先を指定された方法で表記する。商業目的での使用は不可。著作物の改変は認められない。

※ジャーナルにより、「CC-BY-NC-ND」ライセンスのみを導入している場合や、他のライセンス形式を選択可能な場合など、条件が異なりますので、ジャーナルごとの規定を参照してください。

※CC-BYの最新バージョン・詳細情報については、下記クリエイティブ・コモンズ・ジャパンのホームページを参照ください。

https://creativecommons.jp/licenses/

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