文献の引用は、研究結果の背景や目的、考察の科学的根拠を示すうえで重要であり、論文の信頼性にも影響を与えます。適切な文献が引用されていない場合、査読過程で指摘を受け、大幅なリバイスを要する場合もあります。また、例えばLancet系列のジャーナルへ原著論文を投稿する際には、文献の系統的レビュー(systematic review)を行なうことが必須とされています。多くの文献のなかから、どのような文献を引用すれば効果的なのか、医学雑誌編集者国際委員会(International Committee of Medical Journal Editors:ICMJE)の定めるRecommendations(2016年12月改訂版)の記載に基づき、まとめてみました。

General Considerations 
Authors should provide direct references to original research sources whenever possible. References should not be used by authors, editors, or peer reviewers to promote self-interests. Although references to review articles can be an efficient way to guide readers to a body of literature, review articles do not always reflect original work accurately. On the other hand, extensive lists of references to original work on a topic can use excessive space. Fewer references to key original papers often serve as well as more exhaustive lists, particularly since references can now be added to the electronic version of published papers, and since electronic literature searching allows readers to retrieve published literature efficiently.

要訳

一般的事項

可能な限り原著論文を引用する。著者、編集者、査読者が自らの利益に結び付くような文献を引用すべきではない。総説論文の引用は、主要な文献に読者を導く効率的な方法であるが、総説論文が元の論文の内容を正確に反映しているとは限らない。一方、あるトピックに関して、多くの文献を引用すると、紙面を圧迫する。重要な原著論文を数点挙げることで、網羅的に文献を引用するのと同じ効果を得られる。とくに、現在では、掲載論文の電子版に文献を追加できるようになっており、また読者自ら電子版の文献検索を行うことにより効率的に文献を入手できる。

 

適切な文献の選び方

☑ 可能な限り原著論文を引用する

☑ 論文で取り上げた研究分野において、重要かつ関連性の高い文献に絞る

☑ 最新のものを選ぶ

 (通常、「Recent studies」という表現は、過去10年以内の研究を指します)

☑ 学会発表のアブストラクトのみで論文発表されていない場合は、引用文献として認められない

☑ すでにアクセプトされ、掲載待ちの論文は「in press」として文献リストに入れられる

 (投稿済みだがアクセプトされていない論文は、出版元から許可を得たうえで「unpublished observations」として本文中で言及できる)

引用文献の記載方法

文献リストの記載方法については、各ジャーナルの投稿規定に定められていますが、米国立医学図書館 (National Library of Medicine: NLM)のウェブサイトに、ICMJEの推奨するガイドラインが掲載されています。標準的な医学ジャーナルからの引用だけでなく、書籍やその他の出版物からの引用、撤回・訂正された論文の引用など、あらゆるケースの引用方法がまとめられているので、参考になります。

https://www.nlm.nih.gov/bsd/uniform_requirements.html

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK7256/