ある雑誌で既に発表された論文と内容的に大きく重複する論文を別の雑誌に投稿・掲載する行為は「重複(二重)投稿・掲載」と呼ばれ、一般に認められていません。但し、公衆衛生上の理由等で緊急に情報を広める必要がある場合には、複数の雑誌で同時に一つの論文の掲載が検討される可能性があります。また、ガイドラインなど、できる限り幅広い普及が望まれると判断された論文については、二次掲載が認められる場合もあります。

ICMJEのRecommendationsでは、「重複掲載(Overlapping Publications)」について、「Duplicate Submission(二重投稿)」、「Duplicate and Prior Publication(二重掲載・既発表論文)」、「Acceptable Secondary Publication(許容される二次掲載)」に分けて、それぞれの見解が述べられています。

Duplicate Submission(二重投稿)」、「Duplicate and Prior Publication(二重掲載・既発表論文)」についての解釈

×1つの論文を同時に2つ以上のジャーナルに投稿する 【二重投稿のため不可】

×すでに発表されている論文と大幅に内容が重なる論文を、先の論文を引用せず、別のジャーナル(あらゆる公的媒体を含む)に掲載する 【既発表論文の二重掲載のため不可】

〇学会などで、結果の一部をアブストラクト/ポスター発表したものを、フル論文の形式で投稿する 【一般に可(※学会発表の詳細をカバーレターおよび論文中に記載すること)】

〇公衆衛生上、緊急に情報を広める必要がある場合(規制当局の認定に基づく)、速報に続きジャーナルに本掲載する【ジャーナルが必要性を認めれば可】

 

Acceptable Secondary Publication

Secondary publication of material published in other journals or online may be justifiable and beneficial, especially when intended to disseminate important information to the widest possible audience (e.g., guidelines produced by government agencies and professional organizations in the same or a different language). Secondary publication for various other reasons may also be justifiable provided the following conditions are met:

  1. The authors have received approval from the editors of both journals (the editor concerned with secondary publication must have access to the primary version).
  2. The priority of the primary publication is respected by a publication interval negotiated by both editors with the authors.
  3. The paper for secondary publication is intended for a different group of readers; an abbreviated version could be sufficient.
  4. The secondary version faithfully reflects the data and interpretations of the primary version.
  5. The secondary version informs readers, peers, and documenting agencies that the paper has been published in whole or in part elsewhere—for example, with a note that might read, “This article is based on a study first reported in the [journal title, with full reference]”—and the secondary version cites the primary reference.
  6. The title of the secondary publication should indicate that it is a secondary publication (complete or abridged republication or translation) of a primary publication.

Of note, the NLM does not consider translations to be “republications” and does not cite or index them when the original article was published in a journal that is indexed in MEDLINE.

When the same journal simultaneously publishes an article in multiple languages, the MEDLINE citation will note the multiple languages (for example, Angelo M. Journal

networking in nursing: a challenge to be shared. Rev Esc Enferm USP. 2011 Dec 45[6]:1281-2,1279-80,1283-4. Article in English, Portuguese, and Spanish.No abstract available. PMID 22241182).

【要約】

許容される二次掲載

政府機関や専門組織が作成したガイドラインなど、できる限り多くの読者の目に触れる必要があると判断された論文については、二次掲載が許容される。その他の理由による二次掲載も以下の基準を満たしていれば、正当とみなされる可能性がある。

  1. 著者が双方のジャーナルの編集長から承諾を得ており、二次掲載をする側の編集長が一次掲載版の論文を参照することができる。
  2. 一次掲載版の優先権を保つため、双方のジャーナルの編集長間で取り決めた一定期間をあけた後に二次掲載を行う。
  3. 二次掲載される論文は、一次掲載版と異なる読者層が想定されている(要約版で十分な場合もある)。
  4. 一次掲載版のデータおよび解釈が二次掲載版でも忠実に反映されている。
  5. 二次掲載版では、読者、査読者、文書管理機関に向けた注意書きとして、その論文の全文または一部がすでに発表されたものである旨が記載されており(以下の文例参照)、一次掲載版の文献が引用されている。文例)This article is based on a study first reported in the [journal title, with full reference].
  6. 二次掲載版の論文タイトルにおいて、二次掲載である旨(完全再掲載版、要約版、翻訳版など)が示されている。

なお、米国国立医学図書館(NLM)では翻訳版は「再掲載」とみなされず、一次掲載版がMEDLINEで索引化されている場合は、翻訳版は引用・索引化されない。

MEDLINEでは、同じ論文が異なる言語で同時に発表された場合、多言語で発表された旨が索引化される。

例)Angelo M. Journal networking in nursing: a challenge to be shared. Rev Esc Enferm USP. 2011 Dec 45[6]:1281-2,1279-80,1283-4. Article in English, Portuguese, and Spanish. No abstract available. PMID 22241182).

Acceptable Secondary Publication(許容される二次掲載)」についての解釈

二次掲載の可否が問題となるケースとして、日本語で発表された論文を英文ジャーナルに投稿する場合が考えられます。近年の傾向として、一定の条件下では他言語での二次掲載が認められる可能性があります。その場合、少なくとも上記のICMJEの基準を満たす必要があると考えられます。

また、既発表論文と内容が一部重複する論文を投稿する場合は、必ずカバーレターおよび本文中にその旨を記載することが重要です。

 

本内容は、ICMJEの最新版(2016年12月改定版)にあわせて改定しました(2017年5月)